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エッセイ

自治会長が役員会で「KPI会議」を開いてみた|数字で語ると議論が変わる

自治会でKPI会議をやってみたの文字の背景に、座卓で5人の人達が会議をする風景
KPI会議
noira.0453@outlook.jp
※記事にはアフィリエイト広告が含まれることがあります。

自治会長として自治会を「経営する」という視点の講習会を受けてきました。

会計報告と行事の確認だけで終わっていく役員会に、正直なところ物足りなさを感じていた時期でもありました。そこで実際に、私の自治会の役員会で、自治会未加入者数・目標数・自治会員数といった数字を抽出し、KPI会議を開いてみることにしたのです。

自治会をスムーズに運営していくとともに、役員の衆知を集めることにも注意を払いながら進めていきたい。そんな思いから始めた小さな試みを、記録として残しておきます。

KPIとは何か|自治会に当てはめて考える

KPI(Key Performance Indicator=重要業績評価指標)とは、目標の達成度を測るための「ものさし」です。企業では売上や契約件数などを指標にしますが、これは自治会にもそのまま応用できます。

自治会の目的は、地域で暮らす人が安心して生活できる環境をつくること。ただ、その状態が「良くなっているのか、悪くなっているのか」を、私たちは普段どうやって判断していたでしょうか。

  • 「最近、加入してくれる人が減ったねえ」
  • 「行事に出てくる人が少なくなった気がする」
  • 「若い世帯はなかなか入ってくれん」

役員会で交わされるこうした会話は、実感としては正しいのです。しかし印象や感覚のまま議論すると、対策も感覚的なものになってしまいます

数字にしておけば、去年と比べてどうなのか、どこに手を打つべきなのかが見えてきます。行政の現場で30年以上、数字を根拠に施策を組み立ててきた経験からしても、ここは避けて通れないところだと感じました。

実際に抽出した数字|自治会のKPIはこの3つから

初回は、あれこれ増やさずシンプルに始めました。指標が多すぎると誰も見なくなる、というのが講習会での一番の学びだったからです。

1. 自治会員数(世帯数)

現在の加入世帯数。すべての土台になる数字です。

2. 自治会未加入者数(未加入世帯数)

区域内に住んでいながら、自治会に加入していない世帯数。ここが伸びしろそのものです。

3. 加入率と目標数

加入率=自治会員数 ÷(自治会員数+未加入世帯数)×100

そして「今年度末までに何世帯増やすか」という目標数を置きます。

項目前年度今年度(現在)今年度目標
区域内総世帯数   
自治会員数(加入世帯)   
未加入世帯数   
加入率 % % %

この表を人数分コピーして、役員会の資料として配りました。空欄を埋めていくだけの、A4一枚です。

役員会での見せ方|資料はA4一枚に絞る

工夫したのは、次の3点です。

1. 数字は多くても5つまで

未加入世帯数、会員数、加入率、目標数、そして今年度の行事参加者数。この程度に絞りました。細かい内訳は聞かれたら答える、という構えです。

2. 前年度との比較を必ず入れる

単独の数字には意味がありません。「去年より2世帯減っている」という形にして初めて、議論の入口になります。

3. 数字の説明は5分で切り上げる

説明が長いと、それだけで役員が受け身になってしまいます。数字を共有したら、あとは意見を聞く時間に充てました。

やってみて分かったこと

議論の質が変わった

「未加入が○世帯ある」と具体的な数字を示した瞬間、場の空気が変わりました。「あの区画の新しいアパートは全部未加入じゃないか」「あそこは大家さんに話を通したほうが早い」——役員それぞれが持っている地域の情報が、数字をきっかけに出てきたのです。

これは大きな発見でした。数字は答えを出してくれるものではなく、それぞれが持っている知恵を引き出すきっかけになるのだと実感しました。

「誰の責任か」の話にはしない

一方で、危険も感じました。数字を出すと、どうしても「なぜ達成できていないのか」という空気になりがちです。ここで役員個人の責任を問う流れになったら、その場でKPI会議は終わりだと考えていました。

そこで最初に、はっきり伝えました。

この数字は、誰かを評価するためのものではありません。自治会の現状を、みんなで同じように見るための道具です。

これは繰り返し言い続ける必要があると感じています。

引き継ぎが楽になる

思わぬ副産物でした。数字が記録として残ることで、次の会長への引き継ぎがはるかに明確になります。「去年はこんな状況で、こういう手を打った」という履歴が、そのまま資産になります。

衆知を集めることを忘れない

松下幸之助は「衆知を集めた全員経営」という言葉を残しています。KPIという言葉は経営の道具ですが、自治会でそれを使う目的は、効率化そのものではありません。

数字を管理の道具として使えば、役員は監視されているように感じます。しかし共通の景色を見るための道具として使えば、意見が出やすくなります。同じ数字を使っても、結果は正反対になるわけです。

自治会は上下関係の組織ではなく、住民が持ち回りで担う共同体です。会長が一人で判断して指示を出す形にしてしまえば、次の担い手はますます現れなくなるでしょう。

数字で現状を共有し、対策は衆知を集めて決める。この順番を守りたいと考えています。

まとめ|まずは3つの数字から

自治会でKPI会議を始めるためにやったことは、結局これだけです。

  • 自治会員数・未加入世帯数・加入率の3つを数える
  • 前年度と比べられる形でA4一枚にまとめる
  • 役員会で共有し、説明は5分で切り上げて意見を聞く
  • 「誰の責任か」の話には絶対にしない

特別なシステムも予算も要りません。表計算ソフトが使えなくても、手書きの一覧表で十分です。

自治会運営に「経営」の視点を持ち込むことに、抵抗を感じる方もいるかもしれません。ただ実際にやってみて感じたのは、数字は議論を冷たくするどころか、役員一人ひとりが持っている知恵を引き出す入口になるということでした。

次回の役員会では、行事参加率も指標に加えてみる予定です。その結果も、またこちらで報告したいと思います。

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ハウル
ハウル
自由を目指すアラカン
「人生100年時代」をともに生きるあなたへ。
何かヒントになればと思い2022年11月にブログをスタートしました。
旅(神社仏閣巡り)・還暦野球・ゴルフやってます。

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