焼酎の甲類と乙類の違いとは? 60代の私が売り場で見つけた「乙類」の謎


みなさんこんにちは。ハウルブログです。今日も元気にお過ごしでしょうか。
人生100年と言われる時代です。還暦(60歳)を過ぎても、まだ残り40年あります。このブログが、還暦を過ぎたみなさまにとって何かのヒントになればと思い、書き続けています。
今日は「焼酎の甲類と乙類の違い」について書いてみます。
結論から言うと、焼酎の甲類と乙類の違いは、蒸留のしかたです。
- 甲類:連続式蒸留機で何度も蒸留する。クセがなく、すっきりした味
- 乙類:単式蒸留器で1回だけ蒸留する。芋や麦など、原料の香りと味が残る
ふだん「本格焼酎」と呼ばれているのは、乙類のほうです。
甲と乙は「上等・並」のような等級ではなく、つくり方による区分けにすぎません。
私がこのことを調べたのは、焼酎の売り場で、ある文字が目に入ったからでした。
きっかけは売り場の「乙類焼酎」
先日、焼酎を買いに行きました。
米焼酎の棚を見ていたら、ラベルに「乙類焼酎」と書いてある銘柄がありました。
「これは何だ?」と、思わず手が止まりました。
いつも見ているラベルには、たいてい「本格焼酎」と書いてあります。
同じ棚に並んでいるのに、なぜ書き方が違うのか。
その日は、芋焼酎の「こくいも 黒」を買って帰りました。
焼酎はよく買うのに、甲類と乙類の違いを人に説明できない。
これは少し恥ずかしい(たぶん、私だけではないはずです)。
そこで、あらためて調べてみました。
焼酎の甲類と乙類の違いを表で比べる
まずは、違いを表にまとめます。
| 甲類焼酎 | 乙類焼酎 | |
|---|---|---|
| いまの正式な呼び名 | 連続式蒸留焼酎 | 単式蒸留焼酎 |
| 蒸留のしかた | 連続式蒸留機で何度も | 単式蒸留器で1回 |
| アルコール度数 | 36度未満 | 45度以下(多くは25度前後) |
| 味と香り | 無色透明でクセがない | 原料の風味がはっきり出る |
| 主な原料 | 糖蜜(サトウキビのしぼり汁から砂糖を取ったあとの液)、トウモロコシなど | 芋・麦・米・黒糖・そばなど |
| 向いている飲み方 | チューハイ、サワー、果実酒づくり | ロック、水割り、お湯割り |
| 別の呼び方 | ホワイトリカー | 本格焼酎(条件あり) |
ひとことで言うと、
甲類は「クセのない万能ベース」、乙類は「原料の味を楽しむ酒」です。
なお、2006年の酒税法の改正で、正式な呼び名は「連続式蒸留焼酎」「単式蒸留焼酎」に変わりました。
ただ、「甲類」「乙類」という書き方も今も使ってよいことになっているので、ラベルには両方が混ざっています。
売り場で戸惑うのも、無理はないわけです。
甲類焼酎とは? 連続式蒸留機のしくみ
甲類焼酎をつくる連続式蒸留機は、背の高い「塔」のような装置です。

しくみは、こうです。
- 塔の中には、何段もの棚(棚板)があります
- もろみ(発酵させた液)を塔の上のほうから流し込み、下からは蒸気を送り込みます
- 蒸気は棚を一段上がるたびに、冷やされて液になり、また蒸発します
- アルコールは水より沸点が低いので、上の段ほどアルコールが濃くなります
- いちばん上から、95度前後の濃いアルコールを取り出します
- これを水で薄めて、36度未満の製品にします
棚を通るたびに蒸発と凝縮をくり返すので、1回の運転で、何度も蒸留したのと同じ効果があります。
香りや雑味の成分はふるい落とされ、ほとんど純粋なアルコールに近くなります。
だから甲類は、無色透明でクセがない。
レモンサワーや梅酒づくりに使われるのは、このクセのなさのおかげです。
ひとことで言うと、連続式蒸留機は「純度を高める装置」です。
乙類焼酎とは? 単式蒸留器のしくみ
乙類焼酎をつくる単式蒸留器は、釜(ポット)の形をした蒸留器です。
ウイスキーの世界では「ポットスチル」と呼ばれるものと、基本のしくみは同じです。

流れは、とてもシンプルです。
- 下の釜にもろみを入れ、直火や蒸気で温めます
- 出てきた蒸気が、上の首を昇ります
- 横の管を通って冷却器に入り、冷やされて液体に戻ります
- これが蒸留液、つまり焼酎のもとになります
連続式のような棚板はなく、蒸留は1回だけ。
そのため、アルコール以外の香りの成分もいっしょに出てきます。
芋焼酎のあの独特の香りや、麦のこうばしさ、米のやわらかい甘み。
これらはみんな、この「1回だけ」の蒸留から生まれます。
ひとことで言うと、単式蒸留器は「原料の風味を残す装置」です。
「乙類」と「本格焼酎」は同じ? 違う?
さて、売り場で私が首をかしげた「乙類焼酎」の話に戻ります。
「本格焼酎」と名乗れるのは、乙類(単式蒸留焼酎)のうち、決まった条件を満たしたものだけです。
- 原料が、穀類・芋類・清酒かす・黒糖、または国が決めた品目であること
- 麹(こうじ)を使っていること
- 単式蒸留器で蒸留していること
- 水を加える以外に、砂糖などを加えていないこと
つまり、
- 本格焼酎は、すべて乙類
- でも、乙類が、すべて本格焼酎とは限らない
という関係です。
では、私が見た「乙類焼酎」の芋焼酎は、どちらだったのか。
考えられるのは、次の2つです。
- 条件を満たしているが、蔵が昔ながらの「乙類」という書き方を選んでいる
- 何かを加えているなどで、「本格焼酎」とは名乗れない
ラベルの裏の原材料の欄を見れば、ある程度はわかります。
ラベルで見分けるコツ
焼酎を選ぶときは、ラベルのここを見ると迷いません。
- 「連続式蒸留焼酎」「甲類」「ホワイトリカー」→ クセのない甲類
- 「単式蒸留焼酎」「乙類」→ 原料の味が残る乙類
- 「本格焼酎」→ 乙類のうち、条件を満たしたもの
- 「甲乙混和焼酎」「乙甲混和焼酎」→ 甲類と乙類をまぜたもの
最後の「混和焼酎」は、見落としやすいので要注意です。
実は、私がこの日に買った焼酎がそうでした。

「こくいも 黒」の紙パックには、大きく「焼酎甲類乙類混和」と書いてあります。
甲類と乙類をまぜた焼酎で、甲類のほうが多い、という意味です。
その下には「いも焼酎(さつまいも10%使用)」。黒麹仕込で、アルコール分は25度です。
表の顔は芋焼酎。でも中身の主役は、すっきりした甲類。
芋の香りはほどほどに、飲み口は軽めに。毎日の晩酌向けのつくりなのでしょう。
ただ、「本格的な芋の香り」を期待して買うと、肩すかしになるかもしれません。
芋の香りをしっかり楽しみたいときは、「本格焼酎」の文字を探すのが近道です。
ちなみに、甲類の「甲」と乙類の「乙」は、上等と並という意味ではありません。
つくり方の違いで分けた、ただの区分けです。
甲類はサワーに、乙類はお湯割りに。どちらも得意な場面があります。
まとめ
- 焼酎の甲類と乙類の違いは、蒸留のしかた
- 甲類は連続式蒸留機で何度も蒸留。36度未満で、クセのない万能ベース
- 乙類は単式蒸留器で1回だけ蒸留。45度以下で、原料の香りと味が残る
- 「本格焼酎」は、乙類のうち条件を満たしたもの
- ラベルの「混和焼酎」の文字にも気をつける
売り場でたまたま目に入った「乙類」の2文字。
調べてみたら、塔のような蒸留機と、釜のような蒸留器の、まったく違う世界が見えてきました。
なるほど、と思いました。
つくり方を思い浮かべながら飲む焼酎も、また格別にいいものです。
還暦を過ぎて、お酒の量はほどほどに。
そのぶん、1杯の味わいを深くしていきたいと思います。


